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和歌山~岡山 自転車ツーリング その4

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和歌山から岡山まで、自転車で走った。そのつづき。


4日め 播州赤穂駅~岡山駅 約52km

2015年12月29日月曜日、午前9時30分。
私は播州赤穂(ばんしゅうあこう)駅に降り立った。

しょっぱなから、お金の話で恐縮だけど、
私の自転車ツーリングでは、ゴールしたところから
続きを始めるという、自分ルールを決めている。
というわけで、自宅から離れるにしたがって、
そこまで行くのに、交通費がかかることになる。

今回、私は富田林市内にある家内の実家を拠点に
しているわけだけど、昨日、播州赤穂から帰るのに、
交通費が約2,700円もかかってしまった。
播州赤穂は、新快速の終着駅として、
関西の人にとっては、おなじみの駅である。
大阪からの所要時間は1時間半くらい。
けれども、大阪~播州赤穂間の距離は119kmもある。
これは、東京~三島間に匹敵する距離である。

私は一計を案じて、「冬の関西1デイパス」(3,600円)
を購入した。この切符は、関西エリアの普通列車を
自由に乗り降りできるもので、青春18きっぷのミニ版
と考えればよい。自由乗降エリアの西の端は赤穂線の
播州赤穂と山陽本線の上郡(かみごおり)で、
そこまで往復するだけでも、十分、モトがとれる。

きょうは、岡山まで走ろうと思っているので、
帰途の岡山から上郡までの乗車券は、別途、購入する
ことになるが、それでも、おトクである。
関西1デイパスは、春、夏、秋、冬と発売しており、
ほぼ1年中、使うことができる。

冬の関西1デイパス(JR西日本)
http://tickets.jr-odekake.net/pamph/PT15000235/


駅前の石井自転車預かり所に預けていた自転車を出し、
コンビニで、食料と飲み物を調達。
午前10時に播州赤穂駅をスタートした。
国道250号線を西にむかう。
天和という駅の近くを通る。麻雀をされる方にとっては
「てんほう」とよんでしまいそうだが、駅名は「てんわ」である。
小さな峠を越え、岡山県にはいった。

日生(ひなせ)から対岸の鹿久居島(かくいじま)へは、
かつてはフェリーが出ていた。が、2015年6月に、
新しい橋ができた。備前♡日生大橋である。
なんとよむのか。
「びぜん はーと ひなせおおはし」であろうか。
名前は変だけど、斜張橋とふつうの橋を組み合わせた
最新構造の立派な橋である。
けれども、鹿久居島の人口は10人かそこらなので、
残念ながら、誰も通っていない。

kakui.jpg
備前♡日生大橋にて

日生駅に行ってみた。
この駅に来るのは、36年ぶりである。
あのとき私は自転車で走ってきて、この駅で休んでいた。
すると、西の方から自転車乗りがやってきた。
その人は東京の人で、私と年齢も近かったので、
すこしのあいだ、話をした。

その人は、私がこれから行こうとしている
岡山県と広島県について、
「どこそこのユースは、ご飯のおかわりが自由だ。」とか、
「岩徳線(がんとくせん)の駅は無人駅が多いから、
待合室で寝られる。」とか、そんなことを教えてくれた。
あの頃の自転車乗りは、みんな、ビンボーだった。
いまでは、考えられないことであるが。

その日生駅であるが、あのときとまったく変わっていない。
白いコンクリート造りで、入口に半円状のアーチのある
特徴のある駅舎である。なんだか、明るい感じの駅で、
訪れる人をあたたかく迎えてくれるような気がする。
日生の駅前からは、小豆島(しょうどしま)にわたるフェリー
が出ている。

hinase.jpg
JR日生駅前にて


日生駅を出て、国道250号線を西へ。
「カキオコ」という幟(のぼり)が、街中に出ている。
カキオコとは、カキを入れたお好み焼きのことで、
日生独特の食べ物である。
食べてみたい。
私は、カキが大好きである。
スマホで検索すると、いくつかの有名店が出てきた。

けれど、自転車ツーリング中であるので、魚介類を
食べるわけにはいかない。食あたりにでもなったら、
生命にかかわるかもしれないから。
ぐっとつばを飲み込んで、日生の町を走り抜けた。

備前片上(びぜんかたかみ)の町に入る。
品川リフラクトリーズとか、九州耐火煉瓦とか、
耐火煉瓦関係の工場が多い。西片上駅の近くで左折。
しばらく行くと、駐車場の片隅に凸形のディーゼル
機関車が置いてあった。

これは...同和鉱業片上鉄道のDD13ではないか。
なんと、こんなところに放置されていたのか。
片上鉄道は、同和鉱業の柵原(やなはら)鉱山で
産出される硫化鉄鉱を輸送する目的で建設された。
しかしながら、柵原鉱山の採算性が悪くなってきて、
その閉山とともに、1991年6月で廃止された。

このあたりに、片上駅があったはずである。
けれども、ドラッグストアとかスーパーが建っていて、
もはや、痕跡もなくなっていた。

片上鉄道の路盤は、現在は「片鉄ロマン街道サイクリング道」
になっていて、ここから山陽本線の和気(わけ)を経由して、
柵原の近くまで走ることができる。
いつか走ってみたい、と思う。

katakami.jpg
旧同和鉱業片上鉄道のDD13形ディーゼル機関車


国道2号線に入った。
残念なことに、雨が降ってきた。できれば、牛窓(うしまど)
に行ってみたいと思っていたのだが...。
仕方がないので、岡山駅に直行することにする。

伊部駅(いんべえき)を通りかかる。
このあたり、備前焼で有名である。
なんか、皿でも買っていこうかな、と思ったのだが、
年末なので、ほとんどの窯元が休みだった。

さらに、国道2号線を西にすすむ。
備前おさふね刀剣(とうけん)の里、備前長船刀剣博物館
という案内標識があった。以前、オートバイで来たときも、
気になったのだが。
今回は、時間もあることだし、ちょっと寄ってみようかな、
と思って、行ってみた。年末で休館日であった。
備前大橋で吉井川(よしいがわ)をわたる。

国道250号線と国道2号線の分岐にさしかかった。
ちょっと、面食らう。牛窓に行くつもりだったので、
このあたりは、ちゃんと下調べをしてこなかったのだ。
スマホで国道2号線バイパスは自転車と歩行者が
通行禁止であることを確認し、国道250号線にすすむ。

岡山駅には、午後2時すぎに着いた。
こんなに早く、ツーリングを終わるのは、はじめてである。
なんだか、冴えない終わり方であった。

okayama.jpg
岡山駅西口にて

自転車を輪行袋に入れ、上郡までの乗車券970円を購入。
山陽本線の相生行き普通列車に乗る。
相生からは、播州赤穂始発の新快速で大阪に。
午後8時すぎに、富田林市内にある家内の実家に着いた。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
和歌山から岡山にかけては、大半が工業地帯だけど、
大阪市内は、かつて水の都とよばれた雰囲気を偲ばせるし
網干(あぼし)を過ぎたあたりから、瀬戸内海の雰囲気がある。
ほぼフラットなコースなので、中高年でも十分に走る
ことが可能である。関西をサイクリングしてみたいと
思われる方は、コースに加えると、いいかもしれない。

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