ライダーハウスやませさんにて
やませさんのホームページ
http://www3.plala.or.jp/rider-yamase/
2012年10月17日水曜日 午後3時半ごろ、私は日本最北端の地、
宗谷岬に着いた。宗谷岬は、オートバイや自転車に乗る者にとっては、
ひとつの聖地になっている。私は記念写真を撮って、午後4時すぎ、
猿払(さるふつ)村にむけて、ふたたび自転車をこぎ始めた。
猿払村には、道の駅さるふつ公園がある。
ここは、道の駅にキャンプ場と温泉浴場が併設されており、
とても、便利なところである。
私は10年前に利用したことがあるが、広い芝生のサイトは
清掃が行き届いており、最高の環境であった。
湯上りに飲んだ、さるふつ牧場牛乳も、とても美味しかったし。
ということで、私はもう一度、あそこに行こうと思った。
すでに、110km走って疲れていたし、日が暮れかけてはいたものの、
猿払村まで、あと30km、こいでしまうことにしたのだった。
道の駅さるふつ公園
http://www.hokkaido-michinoeki.jp/data/54/each.htm
猿払にむかう途中には、ところどころに立派な家が建っている。
このあたりは、ホタテの養殖がさかんであり、それで財をなした
漁師さんたちのホタテ御殿とよばれる豪邸なのであった。
海岸には、ハマナスが群生しており、実がたくさんなっている。
ひとつ取って、口にふくんでみた。
弱い甘みと、強烈な酸味が口いっぱいにひろがる。
ハマナスの実は生食はむずかしく、
地元の人は、ジャムなどにして食べるようだ。
ハマナスの実
道の駅さるふつ公園には、日がとっぷりと暮れた
午後6時ごろ、到着した。
しかしながら、運の悪いことに、雨が降ってきた。
しかも、風が強い。
前回、泊まったときも、深夜に強風でテントがあおられ、
目をさましたことを思い出した。
どうやら、このあたり、いつも風が強いところなのかもしれない。
とにかく、これでは、キャンプは無理そうだ。
そこで、道の駅から2kmほど先にある、ライダーハウスやませさんに
電話をしてみた。
留守番電話になってしまった。携帯電話の番号が案内されたが、
強い雨と風で、どうも、よく聞き取れない。
まあ、近いことだし、とりあえず行ってみることにした。
5分ほどで着いたが、やはり、宿の人はいない。
お客として宿泊している人に尋ねてみると、親切な方で、
自分の携帯電話で、オーナーに電話をしてくださった。
すぐに、宿のオーナーのご夫婦が、クルマでやってきた。
ということで、料金を支払い、無事に泊まることができた。
案内された部屋は、10畳くらいの和室であり、
とても清潔で、快適な部屋であった。
料金は、ふとんとシャワーを使用させていただき、
暖房料込みで、1,800円であった。
考えられないくらい、良心的な値段である。
少し、オーナーの奥さんと話をしたのだが、HPなどに
掲載されている電話番号にかけると、併設されている
「食事処やませ」さんにつながる。が、食事処は、いつも
午後3時ごろには閉店してしまうらしく、
それ以降は、留守番電話になるということだ。
ということで、やませさんに対する問い合わせ、予約などの電話は、
なるべく、午後3時ごろまでにすませた方が、よさそうである。
ということで、今回の記事のまとめであるが、
北海道猿払村のライダーハウスやませさんは、
とても清潔で、快適な宿であった。
オーナーのご夫婦も人柄のよい方で、気持ちよく過ごすことができた。
自転車、オートバイの旅人にとっては、利用価値が大きいといえよう。
その日の同宿の方は、自転車、オートバイの旅人ではなく、
釣り人であった。この近くの猿払川に、イトウを釣りに来ているという。
すでに、何度もこのライダーハウスを利用しているということで、
常連の方であった。
私は知らなかったのだが、彼によると、猿払川は日本有数のイトウ釣り
のポイントであるらしい。私は漫画「釣りキチ三平」で、釧路川でイトウを釣る
話を読んだことがあるので、興味を持った。その人は、昨日釣ったという
イトウの写真を見せてくださった。80センチくらいあるイトウであった。
サケ・マスの淡水魚としては、考えられないくらいの大きさであり、
顔はイワナに近かった。意外と、ほっそりとした魚であった。
イトウの生態は、長いあいだ謎であったが、最近になり、
徐々に明らかになってきたという。淡水に棲んでいながら、随時、
降海を繰り返し、大きくなるらしい。
ただし、産卵する大きさになるまで、長い年月がかかる。
そのようなことから、絶滅危惧種になりつつあるようだ。
翌朝、出発して、猿払川をわたるとき、私は自転車をとめて、
橋の上から川のなかを覗いてみた。当然のことながら、
イトウを見ることはできなかったが、遡上するサケの姿を
みることができた。
猿払川には、人の手はほとんど入っておらず、
湿原や氾濫原も、そのままのかたちで残っている。
できれば、いつまでもイトウが棲める環境であってほしいものだ。
その日は興部まで、約128kmを走った。
猿払川