南海電鉄の岸里玉出(きしのさとたまで)駅のこと。
前回からのつづきである。
角ズームこと2200系(旧22000系)電車
前回は、岸里玉出駅の汐見橋線ホームで
角ズームを見てびっくりしたところで終わった。
私は鉄(=鉄道ファン)ではあるのだが、
鉄道を使って旅行をするのが好きなのである。
要するに乗り鉄であるので、車両の運用などには疎く、
どこになにが走っているのかは、さっぱりわからない。
けれども、長年にわたり鉄をやっている、
つまりは、鉄の病をこじらせているから、
車両に関する知識も、ある程度はある。
とりわけ、私が子どもの頃に親しんだ古い車両の
ことはよくわかる。だから、そんな車両が第一線を
はずされ、さびれた支線で運用されていたりすると、
びっくりするし、また、懐かしいのである。
角ズームこと、2200系電車(旧22000系)は、
1969年から製作され、南海高野線の難波から極楽橋
までの直通急行運用にあたった、元エースである。
高野線の難波から橋本までは、ふつうの平坦区間であるが、
橋本から極楽橋の間は、関西私鉄随一の山岳線であり、
50パーミル(=5%)を超える急勾配や、
半径100メートル以下の急カーブなどがある。
ということで、難波から極楽橋までの直通運転をするには、
急勾配を登ることができる強力なモーターと、
急カーブをまわることができる短めの車両であり、
さらには、平坦区間を時速100km以上で走ることができる
特別な車両が必要なのである。
南海電鉄では、このような車両をズームカーと呼んでいる。
ズームカーとは、平坦地から急勾配区間にいたるまで、
安定的に走ることができる性能をもっているという意味
である。
ズームカーは1958年より製作開始された21000系(丸ズーム)、
1969年より製作開始された22000系(角ズーム)、
そして、1990年製作開始の2000系(ハイテクズーム)と発展し、
今日まで、南海電鉄を代表する高性能車両としての伝統を
継承している。
そんな角ズームが汐見橋線を走っていたのは、
正直いって意外だった。汐見橋線にとって角ズームは
明らかにオーバースペックである。強力なモーターも
持てあまし気味であったし。
調べてみると、角ズームは現在、わかやま電鉄貴志川
(きしがわ)線(2006年3月までは南海電鉄貴志川線)
および南海の多奈川(たながわ)線においても使われている
ことがわかった。角ズームは、もともと2両一組の増結用編成
であったし、シートもロングシートだから、ローカル支線に
おいても、使いやすかったのだろう。
なんだか、実力がありながらも評価されず、VVVFという
最新の技術を搭載した若手のハイテクズームに追われて
しまった元エースという感じである。が、
「汐見橋線? そんなところを走れるかい!」
と言って、大井川鉄道、一畑電鉄(いちばたでんてつ)などに
売られていった21000系にくらべて、
「仕事でっか。なんでもやりまっせ。
え、汐見橋線? ...はい、どこでも走ります。
だってワタシ、ズームカーですもん(笑)。」
とか言って、本当に汐見橋線を走っている角ズームは、
なんだか、大阪っぽくていいな、と思ってしまうのである。
ということで、今回の記事のまとめであるが、
岸里玉出駅では、南海電鉄のかつてのエースであり、
高性能電車の代名詞であった角ズームこと、
2200系車両をみることができる。
幸運なことに、角ズームのうち2208と2258の編成が、
観光電車「天空」として改造され、2009年7月3日より
橋本~極楽橋の本線運用に復帰した。
1969年に製作された角ズームの性能が、現在でも十分
通用することが証明されたのである。角ズームの面目躍如
といったところであろう。
観光電車「天空」
出所:南海電鉄 鉄道博物館
※岸里玉出駅の謎について書くつもりが、
ズームカーの話になり、どうも脱線してしまった。
次回は、本気で岸里玉出駅の謎にせまってみたいと思う。
前回からのつづきである。
角ズームこと2200系(旧22000系)電車
前回は、岸里玉出駅の汐見橋線ホームで
角ズームを見てびっくりしたところで終わった。
私は鉄(=鉄道ファン)ではあるのだが、
鉄道を使って旅行をするのが好きなのである。
要するに乗り鉄であるので、車両の運用などには疎く、
どこになにが走っているのかは、さっぱりわからない。
けれども、長年にわたり鉄をやっている、
つまりは、鉄の病をこじらせているから、
車両に関する知識も、ある程度はある。
とりわけ、私が子どもの頃に親しんだ古い車両の
ことはよくわかる。だから、そんな車両が第一線を
はずされ、さびれた支線で運用されていたりすると、
びっくりするし、また、懐かしいのである。
角ズームこと、2200系電車(旧22000系)は、
1969年から製作され、南海高野線の難波から極楽橋
までの直通急行運用にあたった、元エースである。
高野線の難波から橋本までは、ふつうの平坦区間であるが、
橋本から極楽橋の間は、関西私鉄随一の山岳線であり、
50パーミル(=5%)を超える急勾配や、
半径100メートル以下の急カーブなどがある。
ということで、難波から極楽橋までの直通運転をするには、
急勾配を登ることができる強力なモーターと、
急カーブをまわることができる短めの車両であり、
さらには、平坦区間を時速100km以上で走ることができる
特別な車両が必要なのである。
南海電鉄では、このような車両をズームカーと呼んでいる。
ズームカーとは、平坦地から急勾配区間にいたるまで、
安定的に走ることができる性能をもっているという意味
である。
ズームカーは1958年より製作開始された21000系(丸ズーム)、
1969年より製作開始された22000系(角ズーム)、
そして、1990年製作開始の2000系(ハイテクズーム)と発展し、
今日まで、南海電鉄を代表する高性能車両としての伝統を
継承している。
そんな角ズームが汐見橋線を走っていたのは、
正直いって意外だった。汐見橋線にとって角ズームは
明らかにオーバースペックである。強力なモーターも
持てあまし気味であったし。
調べてみると、角ズームは現在、わかやま電鉄貴志川
(きしがわ)線(2006年3月までは南海電鉄貴志川線)
および南海の多奈川(たながわ)線においても使われている
ことがわかった。角ズームは、もともと2両一組の増結用編成
であったし、シートもロングシートだから、ローカル支線に
おいても、使いやすかったのだろう。
なんだか、実力がありながらも評価されず、VVVFという
最新の技術を搭載した若手のハイテクズームに追われて
しまった元エースという感じである。が、
「汐見橋線? そんなところを走れるかい!」
と言って、大井川鉄道、一畑電鉄(いちばたでんてつ)などに
売られていった21000系にくらべて、
「仕事でっか。なんでもやりまっせ。
え、汐見橋線? ...はい、どこでも走ります。
だってワタシ、ズームカーですもん(笑)。」
とか言って、本当に汐見橋線を走っている角ズームは、
なんだか、大阪っぽくていいな、と思ってしまうのである。
ということで、今回の記事のまとめであるが、
岸里玉出駅では、南海電鉄のかつてのエースであり、
高性能電車の代名詞であった角ズームこと、
2200系車両をみることができる。
幸運なことに、角ズームのうち2208と2258の編成が、
観光電車「天空」として改造され、2009年7月3日より
橋本~極楽橋の本線運用に復帰した。
1969年に製作された角ズームの性能が、現在でも十分
通用することが証明されたのである。角ズームの面目躍如
といったところであろう。
観光電車「天空」
出所:南海電鉄 鉄道博物館
※岸里玉出駅の謎について書くつもりが、
ズームカーの話になり、どうも脱線してしまった。
次回は、本気で岸里玉出駅の謎にせまってみたいと思う。