遠軽(えんがる)から釧路まで、自転車で走った。そのつづき。
3日め 能取~ウトロ 約101km
翌朝は、5時に出発するつもりであったが、
レイクサイドパーク・のとろキャンプ場があまりにも快適
であったため、つい、寝坊してしまった。
テントを片付け、7時に出発する。
今日も天気が、いまひとつである。
とりあえず、能取岬にむかって、北海道道76号線を走る。
オホーツク海に出たところで長いトンネルがあり、
それを抜けたところで左折。牧場のなかを走る道
を通って、能取岬に出る。
晴れていれば、景色がいいのだが、今日は視界が
わるくて、なにも見えない。
能取岬に着いた。
2002年9月に来て以来だから、じつに14年ぶりの
再訪である。霧のため、なにも見えなかった。
![notor.jpg]()
能取岬にて
道道76号線にもどり、網走にむかう。
ゼッケンをつけた中高年の団体が歩いている。
ひとりのおばさんが、私にむかって、
「がんばって~!」
と声をかけてくれた。
にっこりと笑って、手をふっておいた。
網走市街に入る。網走市役所の前をとおって、
国道244号線に入った。
朝から、なにも食べていない。
国道沿いなら、コンビニくらいあるだろうと
思ったのだが、なにもない。
おかしいと思って、スマホで調べてみたら、すこし、
内陸に入ったところに、何軒かのコンビニがある。
じつは、網走の街は標高40メートルくらいの
海岸段丘の上にあるのである。それに対して、
いま、走っている国道244号線は海岸沿いにある。
市街地と国道をつなぐ道は、ほとんどない。
あったとしても、標高差40メートルを自転車で
登る気にはなれない。
ボトルをのぞいてみると、チロルチョコレートの
抹茶もちが1個、残っていた。それを食べながら、
さらにスマホで調べてみると、10km先の北浜駅
のちかくに、セイコーマート北浜店がある。
どうやら、そこまで走った方がよさそうだ。
と思って走り始めたけど、結局、ハンガーノック
(空腹のため、低血糖状態になること)を起こしてしまった。
時速10kmくらいで、ゆっくりと走る。なんだか、命からがら、
セイコーマート北浜店に着いた。
斜里(しゃり)までは、ほぼ平坦な道。
そこから国道334号線にはいり、知床方面にむかう。
ややアップダウンがあり、30kmほど走ると
オシンコシンの滝がある。バスが何台もとまっていて
ちょっと意外なほど、たくさんの観光客が来ていた。
![oshink.jpg]()
オシンコシンの滝
ウトロに着く。
セイコーマートウトロ店で、晩ごはんのお弁当を買って、
国設知床野営場に向かう。坂を登り切ったところに、
外国人のサイクリストがいた。
外国人サイクリスト 「Hello!」
私 「...ハロー」
こういうとき、英語で平然と話しかけてくる外国人旅行者の
気持ちは、いまいち、よくわからない。
すこし話してみると、イタリアからの旅行者で、自転車で北海道を
一周しているのだそうだ。が、英語とイタリア語しか話せない、
という。
イタリア人「今日はとても寒いです。どこに泊まろうか、考えている
ところなのです。」
とかいう。なんだか、ややこしいことになりそうなので、
私 「私は、この先にあるキャンプ場に泊まります。
それじゃあ、いい旅を。」
と言って、別れた。
キャンプ場に行って、テントを張り、とりあえず弁当を食べる。
そして、石鹸とタオルを持って、ウトロ温泉夕陽台の湯に行った。
すると、さきほどのイタリア人サイクリストがいた。
イタリア人 「私もキャンプ場に泊まることにしました。バンガローを
選んだのですが、料金が3,200円もするうえ、暖房もなにもない。
とても寒いです。」
私 「テントサイトは400円でしたよ。」
イタリア人 「信じられない! 差が大きすぎます!」
とか言って、怒っていた。
そんなこと、私に言われてもなあ。
日本のキャンプ場はそんなもんですよ、と言っても、納得できない
ようであった。
ひさしぶりに英語が通じる話し相手をみつけて喜んでいるようで、
風呂から出たあともロビーで話をした。
イタリア人 「なぜ、風呂から出たあと、牛乳を飲むのですか?」
私 「日本の伝統です。」
イタリア人 「ふーん。」
よけいなお世話である。
イタリア人 「私のカードだと、セブン-イレブンでないと、お金が
おろせないんです。どうしたらいいですか。」
私 「Visaとか、大手のクレジットカード会社なら、郵便局の
ATMでおろせますよ。郵便局なら、日本全国どこに
でもありますし。」
イタリア人 「日本語のメニューしかないと、わからないんです。」
私 「最初にEnglishというボタンを押すと、英語の操作メニュー
が出ますよ。」
イタリア人 「ふーん。」
なんだか、大丈夫なのかな、と思うけれど、こんな状況でも北海道一周
をしてしまうのが、イタリア人なんだろうな。
イタリア人 「日本はいい国です。みんな親切だし、犯罪もない。
とても感じがいい。」
私 「どうもありがとう。けれど、高齢化がすすんでいて、
だんだん衰退している感じですけどね。
イタリア人 「ふーん。」
いろんな話をして、午後9時にテントに帰った。
明日はいよいよ、知床峠越えである。
標高750メートル。今回の旅の最大の難所である。
睡眠をとって、体力をつけておかないと。
(つづく)
3日め 能取~ウトロ 約101km
翌朝は、5時に出発するつもりであったが、
レイクサイドパーク・のとろキャンプ場があまりにも快適
であったため、つい、寝坊してしまった。
テントを片付け、7時に出発する。
今日も天気が、いまひとつである。
とりあえず、能取岬にむかって、北海道道76号線を走る。
オホーツク海に出たところで長いトンネルがあり、
それを抜けたところで左折。牧場のなかを走る道
を通って、能取岬に出る。
晴れていれば、景色がいいのだが、今日は視界が
わるくて、なにも見えない。
能取岬に着いた。
2002年9月に来て以来だから、じつに14年ぶりの
再訪である。霧のため、なにも見えなかった。

能取岬にて
道道76号線にもどり、網走にむかう。
ゼッケンをつけた中高年の団体が歩いている。
ひとりのおばさんが、私にむかって、
「がんばって~!」
と声をかけてくれた。
にっこりと笑って、手をふっておいた。
網走市街に入る。網走市役所の前をとおって、
国道244号線に入った。
朝から、なにも食べていない。
国道沿いなら、コンビニくらいあるだろうと
思ったのだが、なにもない。
おかしいと思って、スマホで調べてみたら、すこし、
内陸に入ったところに、何軒かのコンビニがある。
じつは、網走の街は標高40メートルくらいの
海岸段丘の上にあるのである。それに対して、
いま、走っている国道244号線は海岸沿いにある。
市街地と国道をつなぐ道は、ほとんどない。
あったとしても、標高差40メートルを自転車で
登る気にはなれない。
ボトルをのぞいてみると、チロルチョコレートの
抹茶もちが1個、残っていた。それを食べながら、
さらにスマホで調べてみると、10km先の北浜駅
のちかくに、セイコーマート北浜店がある。
どうやら、そこまで走った方がよさそうだ。
と思って走り始めたけど、結局、ハンガーノック
(空腹のため、低血糖状態になること)を起こしてしまった。
時速10kmくらいで、ゆっくりと走る。なんだか、命からがら、
セイコーマート北浜店に着いた。
斜里(しゃり)までは、ほぼ平坦な道。
そこから国道334号線にはいり、知床方面にむかう。
ややアップダウンがあり、30kmほど走ると
オシンコシンの滝がある。バスが何台もとまっていて
ちょっと意外なほど、たくさんの観光客が来ていた。

オシンコシンの滝
ウトロに着く。
セイコーマートウトロ店で、晩ごはんのお弁当を買って、
国設知床野営場に向かう。坂を登り切ったところに、
外国人のサイクリストがいた。
外国人サイクリスト 「Hello!」
私 「...ハロー」
こういうとき、英語で平然と話しかけてくる外国人旅行者の
気持ちは、いまいち、よくわからない。
すこし話してみると、イタリアからの旅行者で、自転車で北海道を
一周しているのだそうだ。が、英語とイタリア語しか話せない、
という。
イタリア人「今日はとても寒いです。どこに泊まろうか、考えている
ところなのです。」
とかいう。なんだか、ややこしいことになりそうなので、
私 「私は、この先にあるキャンプ場に泊まります。
それじゃあ、いい旅を。」
と言って、別れた。
キャンプ場に行って、テントを張り、とりあえず弁当を食べる。
そして、石鹸とタオルを持って、ウトロ温泉夕陽台の湯に行った。
すると、さきほどのイタリア人サイクリストがいた。
イタリア人 「私もキャンプ場に泊まることにしました。バンガローを
選んだのですが、料金が3,200円もするうえ、暖房もなにもない。
とても寒いです。」
私 「テントサイトは400円でしたよ。」
イタリア人 「信じられない! 差が大きすぎます!」
とか言って、怒っていた。
そんなこと、私に言われてもなあ。
日本のキャンプ場はそんなもんですよ、と言っても、納得できない
ようであった。
ひさしぶりに英語が通じる話し相手をみつけて喜んでいるようで、
風呂から出たあともロビーで話をした。
イタリア人 「なぜ、風呂から出たあと、牛乳を飲むのですか?」
私 「日本の伝統です。」
イタリア人 「ふーん。」
よけいなお世話である。
イタリア人 「私のカードだと、セブン-イレブンでないと、お金が
おろせないんです。どうしたらいいですか。」
私 「Visaとか、大手のクレジットカード会社なら、郵便局の
ATMでおろせますよ。郵便局なら、日本全国どこに
でもありますし。」
イタリア人 「日本語のメニューしかないと、わからないんです。」
私 「最初にEnglishというボタンを押すと、英語の操作メニュー
が出ますよ。」
イタリア人 「ふーん。」
なんだか、大丈夫なのかな、と思うけれど、こんな状況でも北海道一周
をしてしまうのが、イタリア人なんだろうな。
イタリア人 「日本はいい国です。みんな親切だし、犯罪もない。
とても感じがいい。」
私 「どうもありがとう。けれど、高齢化がすすんでいて、
だんだん衰退している感じですけどね。
イタリア人 「ふーん。」
いろんな話をして、午後9時にテントに帰った。
明日はいよいよ、知床峠越えである。
標高750メートル。今回の旅の最大の難所である。
睡眠をとって、体力をつけておかないと。
(つづく)